「万が一♡法律相談!」#2【宝くじの賞金って、誰のもの?】
2019年3月7日
- 「万が一、こんなことが自分の身に起こったらどうしよう!?」「プロの弁護士さんに聞いてみたいけど、敷居が高い〜〜〜!」という皆様!万が一の困ったシチュエーションを、女子♡プロお墨付きの弁護士さん『上原先生』にやさしく解説してもらうコーナーがやって参りました!
あなたの聞いてみたい「困ったシチュエーション」も大募集です♡さぁ〜て、こんな時はどうすればいいの!?「教えて〜!!上原先生〜〜〜!!!」
「弁護士の先生に、万が一の時の対処法を聞いてみたい!」そんな女子♡プロ スタッフの思いから生まれたこの企画!答えてくれる方はもちろん、ノーサイド法律事務所の上原先生!今回もよろしくお願いします〜♡
さて今回は、京都府在住の正直者さんからのこんなご相談。
- 専業主婦で2歳と6歳の子供がいます。夫婦仲はそこまで悪くないと思っていましたが、夫から突然「離婚してほしい。家はお前にやる。もちろん親権も!」と一方的に言われ...。この先どうしようと思っている時に、私...『宝くじ』が当たったんです!
こっちから離婚してやる!と思っていたのですが、友人に話したら「宝くじを買うお金って旦那からもらった生活費だから秘密にしてたらまずくない?」と言われ...。宝くじの件は伝えずに離婚するつもりでしたが、万が一知られた場合...面倒なことになりますか!?
みなさんこんにちは。弁護士の上原です。
第2回目となりました「万が一♡法律相談」。今回は女子♡プロ スタッフと一緒にお話を進めていきましょう!
よろしくお願いしま〜す!先生のこのコーナー、とっても評判いいんですよ!
本当ですか?話が難しくないかと心配していたんですが、良かったです!
さて、京都府の正直者さん、ご質問をお送りいただきありがとうございます。「離婚」という問題は抱えつつも、ひとまずは宝くじ当選おめでとうございます。
知っておいて損はない!【離婚の際の財産分与】について
さてさて、宝くじの当選金が離婚にあたってどう評価されるのか。これは離婚に伴う「財産分与」の問題となります。
「財産分与」とは、簡単にいうと、「結婚している間に夫婦で築き上げた財産は二人のものだから、離婚するときは半分こにしましょうね。」ということです。
具体的にはどんなものが「結婚している間に築き上げた財産」なんですか?
簡単にいうと、結婚中の互いの給与等をいい、給与を貯めた貯金や互いの給与から購入した不動産や自動車などが該当します。
専業主婦の妻と会社員の夫の場合であっても、夫の給与は妻の「内助の功」によるものですので、すべて共有財産となります。
一方で、妻が自身の親から相続した財産や互いに結婚前から有していた財産については、夫婦で築き上げた財産とはいえず、原則として財産分与の対象となりません。
※厳密には個別の具体的な事情によります。
「内助の功」もちゃんと考慮されるんですね!
でも、結婚中に生活費で購入した「宝くじ」は、そうなると折半になりそうですよね...。
では、もう少し細かく考えていきます。「結婚している間に夫婦で築き上げた財産」といいますが、「結婚している間」とはいつからいつまででしょうか。
知らなかった!財産分与における【結婚している間】とは?
結婚のスタートは、「入籍した日」ですか?
そうです!(※入籍前から共同生活を送っていた場合は厳密に入籍日とはならない場合もあります)
では、「結婚の終点」はどこでしょう。
離婚届を出した...離婚した日??
確かに「離婚した日」となる場合もあります。
しかし、離婚の多くは離婚が成立する前に「別居」という状態になります。別居しているということは互いに独立して生活をしているということになりますので、法律上財産分与の終点は「別居を開始した日」となることが多いです。
なるほど、終点は「別居した日」になることが多いんですね〜!メモメモ・・・。
「別居を開始した日以降の財産はお互いに自力で稼いだお金なんだから、夫婦で協力して築き上げた財産とはいえないよね」という考えに基づきます。
つまり、今回の事例とは少し異なりますが、宝くじが当選したとしても、別居後に自身の給与などから購入した宝くじであれば、その当選金は財産分与の対象とならない可能性がでてきます。
もうひとつのポイント、【夫婦で築きあげた財産】って!?
もう一つのポイントは「夫婦で築き上げた財産」って何だろう?ということです。
先程お話しましたように基本的には、婚姻中に購入したものはすべて夫婦で築き上げた財産となります。
しかし、親から相続した財産のように、夫婦の一方の協力なしに築き上げた財産は財産分与の対象となりません。
そこまでいかなくとも、夫婦の一方の才覚によるところが大きい収入については、その収入に対する貢献度を考慮して分与割合が決められることがあります。
全てを半分に、とはいかないんですね。
そうなんです。これを「宝くじ」について考えてみると、宝くじに当選すること自体は運ですので、自身の才覚によるところはあまり大きくありません。
※但し、当選確率の高い売り場を綿密に調査したり、何らかの方法で当選確率を上昇させる手段を用いて当選を手繰り寄せた場合は、別の判断となる可能性はわずかながらあるかもしれません(笑)
調べに調べ上げて、綿密な情報を集めてる方もいますもんね!
とはいえ、もう一方の配偶者が宝くじの当選に貢献したといえるほどの事情もなかなか想定できないと思われます。こういった場合、過去の裁判においては、通常の2分の1という割合ではなく、約7:3という割合での分与をした例があります。
すでに事例があるんですね〜!折半じゃなくてちょっとホッとしました♡
以上のとおりですので、旦那さんからもらった生活費で購入した「宝くじ」の当選金は「財産分与」の対象となり、分与しなければいけないが、その分与割合については、2分の1ではなく、当選したほうがより多くもらえる可能性があるということになります。
人生いつ何が起こるか全くわからない!今回相談されたの正直者さんも、「離婚」や「高額の宝くじの当選」など、想定外のことが起こった時に、法律をきちんと知っていると知らないとでは大違いですよね!
そうですね!さて、ご質問の回答は以上ですが、いろいろなご事情があるにせよ、宝くじに当選するなんて本当に羨ましい限りです。これからの人生、たくましく幸せに過ごしていってくださいね!
先生、今回もわかりやすい回答ありがとうございました!!
それではまた次回!
このコーナーではあなたの「万が一、こんな時ってどうすれば?」という質問をお待ちしています。採用された方は図書カード(1000円分)を進呈のうえ、サイト上で上原先生にお答えいただけます♡
上原先生に質問する!
相談回答 上原弁護士(ノーサイド法律事務所)
企画/協力 Reiko Minami
ライター/撮影/イラスト Chiharu