第1回 空手道場 泊親会川崎
2017年3月14日
2月の極寒の体育館。「押忍!押忍!」と威勢のいい子供たちの声が聞こえてくる。
覗くと全員なんと素足。世間の大人たちは寒さに背中が丸まっているというのに。背筋が伸びる瞬間であった。
空手が上手くなりたいだけなら、よその道場に行きなさいと言ってるんだよね。と佐々木代表。
黒帯も初心者の白帯も、本当に丁寧に頭を下げて取材陣にまで挨拶をしてくれる。
うちが教えたいのは「礼儀と集中力それだけ」と、言い切ってしまう 佐々木代表。
100 人を超える稽古生を抱える「泊親会川崎」は、佐々木代表と三人の常任指導者で指導している。
この道場は、近くの小学校をいくつか曜日ごとに借りて、週6日好きな日に好きなだけ稽古ができるユニークな道場なのである。
集中していない子は、黒目が動くし首がふらふらしていいるからすぐわかる。一瞬強面でドキドキしたが、こどもたちのなつきっぷりは相当なもの。
一緒に追いかけっこしたり、いい時には先生のご自慢の「根性棒」を隠されたりもするという(笑)
相棒の「根性棒」は、決して人を叩くためでなく「水戸黄門の杖」のようなものだという。
100 人もいると、すぐに名前が出てこないから「ほら!そこの緑帯!」と手の延長線上で稽古中も使っているのだとか。
佐々木代表は、御年69 歳。真夏も真冬も週5日の稽古に全て付き合う。そして稽古生の半数以上が、週3日以上通っているという。形指導の織田先生も驚いている。「僕は小1からこの道場に通っていますが佐々木先生が稽古を休んだ姿は、ほとんど見たことがありません」と。
そんな織田先生も29歳!佐々木先生のブレない指導に惚れ込んで、社会人になってからも指導員として道場に通う。
「節目節目に、みんな佐々木先生のところにくるんです。高校受かりました。とか、大学生になりますとか」
また、目につくのが女の子の多さだ。厳しい顔と普段の可愛い顔のギャップに、女優~!と思わず顔がほころんでしまう(笑)
カメラを向けると、秘密の笑顔が♥先生には内緒ね!!!!
緊張感漂う稽古場のはずなのに、こどもたちが伸び伸びしているのがよくわかる。
よその人に怒られることにあまり慣れていない昨今のこどもたちも、「厳しくて面白いユニークな指導」の中、伸び伸びと通っている。
やはりそういう指導は結果も生む。
強くするために空手を教えていないと言いつつも全国制覇まで経験している名門道場の一面もある。
この取材の時に佐々木代表に言われたことがある。
「黒帯の子ばっかり撮らないでね!頑張ってるのは、全員一緒だから!」と。
佐々木代表の全ての稽古生への愛を感じた瞬間であった。
どんなに、稽古生が増えても人任せにしない。どんなに強い道場になっても初心者を丁寧指導する。
強面の佐々木代表にホロリとさせられた瞬間であった。
「うちはイベントも色々やってるからまた遊びにおいで!」とニコニコしながら指導に戻って行った。
取材 / 写真/ ライター Reiko
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2017/12/12